月岡芳年 血と妖艶

コロナ対策で先月閉館していた太田記念美術館が再開しての「月岡芳年 血と妖艶」(前期26日まで、全点展示替えで後期5月1~27日)初日。畳の間や平面箱内の展示を無くした。画中人物の現実性が高まれば、その性格をも想像させる。
無惨絵もあるので御注意。http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/exhibition/blood-and-the-bewitching

浅草演芸ホール

夜の部・余一会「満開!若手落語会」がぴっかり、扇辰、白酒、喬太郎ら、顔ぶれを揃えていたので前売り券を買って楽しみにしていたんだけど、前日になって急に中止と発表された。当日、窓口での払い戻しを受け、昼の部がせっかく開催されているのでこれへ入る。広い会場内に客はたった十余名。夜の方だけを中止にしたのは、盛り場へ出向かせないためかと思ったが、そうではなく、客が多くて十分な距離の間隔が取れなさそう、との判断によるものだろう。こみち「女泥棒」、一之輔「長屋の花見」、文菊「一目上がり」、菊之丞「短命」、文蔵「桃太郎」等、がら空きでもなかなか充実していたが、仲入り後は沈滞。林家の面々は、もっとちゃんと落語をやってほしい。

YouTube生配信

三三が、先の「月例三三独演」の時と同様に、福岡での落語会「毎年三月三十日は三三の日」が中止となってしまったので、公演時刻に合わせてのYouTube生配信。「釜どろ」と「妾馬(前半)」(ふだん省略されることの多い冒頭部も詳しく)。間に挟まれた、扇子と手ぬぐいについての説明も楽しめた。31日19時からも異なる演目で1時間ほど配信、とのこと→ https://www.youtube.com/watch?v=z0-VKgV3VaI&feature=youtu.be
わさびも、らくごカフェでの「月刊少年ワサビ 第132号」が中止となったので、客から出されていたお題、凱旋・二重人格・思い込みを織り込んで作った三題噺「四畳半王者」をYouTube生配信。次回の題もその中のチャットで募集、決定した。そう言えば”東京かわら版4月号"内で昇太が「うちの弟子には古典やりたかろうが新作やりたかろうが、どっちでも良いから『新作は書け』って言ってるんですよ。新作を書けば古典がいかに上手く出来ているのか分かる。全体のことや構成を考えられるので、古典落語をやる時にすごく楽なんですよ」と。

桐壺/帚木/空蝉/夕顔/若紫

祥伝社文庫、林望による「謹訳 源氏物語 一」。約400頁。たいへん読みやすい文にしてもらえてるけど、全十巻の一冊目を読むだけでヘトヘトになってしまっているありさまで情け無い。巻末の図のおかげで、何とか人物関係をつかめる。今日とは異なり、男がさまざまな女性のところへ通うのが普通であった世の物語。歌を作る能力も、今の目から見ると驚き。ずっと前のことになるが、夏期講習で京都校に教えに来て下さった駿台・桑原岩雄師は、紫式部一人で全部を書いたわけではない、とおっしゃってた。

石油価格をめぐるロシアとサウディアラビアのせめぎ合い(TIME3月30日号より)/オマケ

3年間、ロシアとサウディアラビアは交渉した。両国は、生産制限によって石油最低価格を保つため、協調して市場全体の力を利用した。そして約2週間前、すべては御破算になった。サウディは、需要量低下に対応して、価格を安定させるため、より一層の生産削減を望んだ。ロシアは断固反対し、生産増加を望んだ。
そこで、サウディはロシアに教訓を与えようと動いた。1日当たり260万バレルの原油増産で市場をズブズブにし、ロシア石油産業にとって極めて重要なヨーロッパ市場での価格を下げると宣言したのだ。その後数日にわたり、原油価格は30%下落した。サウディはロシアにこう言いたいのだろう。「価格が下がったのはお互い様だけど、市場シェアはこっちの方が上だ。話し合うかい?」
モスクワからは”ニエット”が返された。「話し合う必要なんか無い。我々の経済は、おたくほどには石油輸出に寄りかかってないし、困難時に備えての蓄えもこっちの方がしっかりしてる。これしきの苦労なら長期間耐えられる。そっちはどうだい? 気が変わったら知らせてくれ。」石油戦争が始まった。
サウディを一蹴してから、ロシアはワシントンへこんな風に伝えた。「腹を割ろうや。アメリカさんが我々に経済制裁を科するのは、自分らの石油産業保護のためにこっちのそれを痛めつけたいってのが一番の理由なんだろ。そうやってこっちの石油会社をたたいたから、近年ではそっちが世界一の石油生産国になったんだ。石油価格が下がるのは、ロシアにはありがたいんだよ。」
ロシアの望む低価格は、トランプ大統領の立場を苦しくする。シェイル石油は従来掘削法の石油に比べて高くつくので、価格を引き下げられると、アメリカの小さなシェイル企業のいくつかは倒産してしまう。米国株価の下落や、代替炭化水素エネルギーへの投資額減少は、ウラディーミル・プーティンのほくそ笑むところだ。
この争いはどれ位続くのか? 数ヶ月間に及ぶかも。この戦争での二人の司令官、プーティンとサウディ皇太子ムハンマド・ビン・サルマーンは共に誇り高く精力的で不屈の人物だ。それぞれが、少なくとも現時点では、自分の持つ手札が最高だと信じている。1980年代、サウディによる石油生産量増強の波がソ連を溺れさせるのに一役買ったことをプーティンは憶えている。上の空のトランプから実質的な介入を受けることも無さそうだ。
そうではあるが、プーティンは、これが危ないゲイムであることを分かっている。昨年、ロシア中央銀行は、石油価格が1バレル当たり25ドルに下がってしまうと(予測当時より、今日ではずっと可能性の高い価格である[実際、22ドルを割っている])、ロシアの景気は後退すると報告した。プーティンにとって現下の最重要事は、将来無期限にロシア指導者でいられるための基盤固めである。ロシア経済と共に自身の人気が落ちてしまうことを防ぐため、彼は生活水準向上に全力を挙げねばならない。
もし彼が、石油価格低下を乗り切るために資金を使い過ぎれば、ロシア国民には税負担としてのしかかるかも知れない。困難時に備えての蓄えをこれまでのところは注意深く扱ってきているが、今、世界には(コロナの)嵐が吹き荒れていることを彼は分かっている。
結局、プーティンは、米国シェイル業が、さほどたやすくは倒せぬものであることも分かっている、あるいは分かるべきだ。価格に応じて業界に参入したりそこから退出したりする中小企業群なのだ。疫病流行のため世界の石油需要は劇的に落ち、石油価格は当面低いままだろう。だが、最終的には、経済は回復する。ロシアとサウディは、石油価格上昇へ向け、交渉することになるだろう。アメリカのシェイル石油生産は戻って来るだろう。プーティンとMBS(ムハンマド・ビン・サルマーン)がどの程度までの低下を望むかを我々は見守るばかりである。

無関係動画→ https://youtu.be/gMVNAqN5f0Q

新作台本まつり/冬の時代

池袋演芸場三月下席昼の部は”新作台本まつり”。馬るこ「糖質制限初天神」、小せん「コブシーランド」、喬太郎「ウルトラのつる」、粋歌「すぶや」、つくし「女子会こわい」、清麿「もてたい」等。総じて、噺家本人の作ったものの方が一般人のより面白い。28・29日休席。

東京芸術劇場シアターウエストでの「冬の時代」。木下順二、昭和37年の作で、堺利彦の売文社を舞台とする。人物の別や、1幕の議論を追うのが、私には難しかった。29日までの予定だったのだが、28・29日公演が中止となり、観たのが上演最終回となった。

はりまぜ落語会スペシャル/野崎歓

新宿文化センター大ホールにて、”桜満開!!春の一之輔ひとり寄席”ということで、開演前、舞台上で一之輔自身が一番太鼓、二番太鼓を打つ。前座として出て開口一番「初天神」。ロケット団の漫才があって、(似合わぬ)スーツ・ネクタイ姿の一之輔も加わってくる。「粗忽の釘」を語って仲入り。その後、太神楽曲芸の翁家和助と共に登場し、曲芸に挑戦したり、二人での茶番(コントみたいなもの)を見せたり。和助は、ふだんの寄席ではやらぬ曲芸も披露してくれた。締めくくりは「花見の仇討ち」。たいへん楽しませてもらいました。

ところで、”芸術新潮4月号”内の野崎歓氏による映画評中、「the+形容詞」が複数扱いになるとの基本的な事を氏(や関係者)は知らぬのか、と疑わせるようなところがあり(以前、誤訳騒ぎを起こしているけど、改めて)その翻訳物が心配になってしまう。

ピサロ/亭砥寄席

新装なって大きくなったPARCO劇場での「ピサロ」。空席がやや目立ってしまった。インカ帝国を滅ぼしたピサロを取り上げたピーター・シェーファー作品。目の付け所はすばらしい。宗論は真の議論たり得ぬだろうけど、話の進展に説得力をもっとすっきりもたせる上演としてほしかった。4月30日まで。

深川めしと深川丼(のセット、かなり大量であった。デザートにフルーツも)を食べてからDSCN3214.JPG深川江戸資料館小劇場での「第六十九回 亭砥寄席”菊之丞・白酒二人会”」へ。菊之丞が「河豚鍋」「愛宕山」、白酒が「笠碁」「花色木綿」をそれぞれきっちりと。前座のまめ菊は「狸の札」で、化ける時、向こうを向かせるのは、その瞬間を見てしまうと消されるから、との理由を付した。落語を聴きに行ったりするのはもちろん不要不急の行為だが、そんな事言い出すと、存在の営み自体、そもそも不要不急なのでは、などとのひねくれた考えが頭をもたげる。

等々力渓谷

等々力駅を出て、等々力渓谷を訪れた。ま、谷沢(ヤザワ)川の脇をちらっと歩くだけで、すごい所、というわけではありませんが。https://youtu.be/7eAYjqJfjLw
↓三号横穴の墓室DSCN3203.JPG↓シャガ?DSCN3206.JPG↓あんみつ、食べましたDSCN3208.JPG御岳山(ミタケサン)古墳(敷地へは入れず)、(帆立貝形の)野毛大塚(ノゲオオツカ)古墳DSCN3213.JPGを経て、多摩川沿いに歩き(←これが結構良かった)二子玉川駅へ。

扇辰・白酒二人会

日本橋劇場で”通ごのみ”と銘打って。
扇辰「三番蔵」:前々日に聴いたばかり、と思った客は相当な数いたはず。
白酒「百川」:古典を面白くする、とは、すなわち、絵空事でなくす、ということだと教えられた。
(仲入り)
白酒「時そば」:二軒目のそば屋を、極端に作った。
扇辰「火事息子」:子が家を出て行って(親の望まぬ)勝手な事をする、というのは、昔も今も、少なからぬ人にとって身につまされる話であるのだろう。

三島由紀夫vs東大全共闘

自決前年(安田講堂闘争4ヶ月後)の昭和44年5月13日、東大駒場900番教室で開かれた討論会の記録映画。東大全共闘側は、若さ故致し方無かろうけど、空理空論の誹りを免れぬ言葉の積み上げ(50年後も同様である人もいる)がほとんどで、三島の方が格段に頭が良く、にもかかわらず、きちんとした対応を示しているのが印象深く感じられ、尊敬した。問題の多くが、日本では、敗戦のせいで生じてしまったように見える。どちら側の目指した世も結局は実現しなかったが、もともと、大多数(=衣食住の足りることを最優先とする)を動かす方法は見出せていなかったのでは、と思った。
https://youtu.be/M0Q2nigaY_M

扇辰日和 vol.74

新作「三番蔵」を聴かせてもらえ、ありがたし。下げは、正直なところ、も一つ。「三井の大黒」では、甚五郎にも棟梁にもそれぞれの存在感をもたせ得ていた。練達の語り。間にロケット団の漫才(いつもよりやや雑ではあった)。於・なかの芸能小劇場。

マクベスの悲劇

劇団俳優座、5階稽古場での公演。入口でマスクを渡され、休憩時には飴ちゃんが配られた。話が分かるように上演しおおせたのは功績。傍白時、他を静止させるやり方を多用した。冒頭に結婚式の場面を付けたのは余計だし、本水の使用も独りよがりで無意味。王や魔女たちは、それらしくあった方が良い。4月3日まで。中身の無いPV→ https://youtu.be/U6Jm1RO5GKI

歳月 動員挿話

文学座3月アトリエの会が、岸田國士の2作品を上演。
「歳月」:ホンがそうなのだから仕方無いのかも知れぬが、結局は、男を見る目が無かったというだけの話を長々と引っ張ているに過ぎず。
「動員挿話」:ヘンな動きをすれば客の気持ちは離れていくことを恐れるべき。
29日まで。https://youtu.be/tq9mNJ2wMFA
帰途、ささっとひっかけて。舞台公演も料理屋も宣伝映像を作る御時世。
https://youtu.be/RFOJsSWg_Ro

再・末廣亭三月中席

映画館は開いてるものだと思い込んでしまっていて、確認せぬまま「江分利満氏の優雅な生活」(原作・山口瞳、監督・岡本喜八、主演・小林桂樹)を見に神保町シアターへ出向いたら休館中。映画の後夜の部へ行こう、と思っていた末廣亭八日目へ向かい、昼の部途中、さん喬「替わり目(前半)」から入場。ていねいに語られており、全然嫌味なんかで言うのでなく、ガラガラに空いているのが独特の風情を醸していた。歌る多「悋気の火の玉」等の後、トリ・歌奴が「子は鎹」。床柱の木口を見に行こう、というのはウソで番頭が再会させようと仕組んでいた、との作り。夜の部は盛況になり、小せん「弥次郎」、扇辰「三方一両損」(いずれも一部分)、仲入り・小満ん「浮世床(本・夢)」、百栄「手水廻し」、きく麿「おもち」(変に、魅力というか現実感がある)、一朝「湯屋番」等の後、トリ・文蔵が(私にとっては運悪く、初日に聴いたのと同じ)「転宅」。できれば、十日間、毎日異なる演目をかけてほしい。

彼らは生きていた

https://youtu.be/gelre9axeJ4
第一次世界大戦でのドイツ軍との死闘の映像や、それを辛くも生き延びたイギリス兵たちの(感傷的になったりせぬ)話から成る記録映画。とてつもない悲惨だが、これでも本当のところは何も理解できぬことは理解しておかねばならない。原題「彼らを古びさせまい」。
https://www.rottentomatoes.com/m/they_shall_not_grow_old
帰り、真っ昼間から大層な賑わいでどーしよーもない(?)いせや(本店定休日につき公園店)に立ち寄り、やきとり等で一杯。自分なりの安っぽさでもって平和をかみしめる。(マクロン仏大統領は、死の可能性の高さ低さを無視して”戦争”などという言葉を安易に用いるべきでない。)

ビッグ・リトル・ファーム/普通選挙

理想的な循環の実現を目指す農法が紹介される映画。生き物の姿をたくさん見られたのが嬉しかった。山火事、風向きが変わって、よかったね。
https://youtu.be/98dra7UH2O0
https://www.apricotlanefarms.com/about-us/our-farm/#

PCR検査受診に優先順位をつけることは、医療現場崩壊を防ぐために必要、と当初から言われていたのに、望む人皆が受けられぬのはけしからぬ、などとヒステリックに騒ぎ批判する人たちがいた。彼/彼女らの多くは、今、この件について、ケロッと黙っている。全く根拠の無いウイルス対処法を信じ、SNS上で説く人たちもいた。判断力・責任感に欠けるかような者共にも、選挙権は、等しく無条件に与えられる。

シェイクスピアの庭

その上演時にグロウブ座が火事になってしまい作家がロンドンを去ることとなる「ヘンリー八世」の元々の題名「すべてが真実だ」を原題とするケネス・ブラナー監督・主演映画で、シェイクスピアが晩年、息子の夭折による心の傷にとらわれていた、とのあくまで仮説に基づき(やや不自然に)組み上げられた物語。
https://youtu.be/BOKALgGsuvs

シラノ・ド・ベルジュラック

松竹ブロードウェイシネマの一。前半、’見た目’に対置するのが’中身・魂’というより’美辞麗句’に傾いてしまったきらいがあるように見えた。主演ケヴィン・クライン、演出デヴィッド・ルヴォー。
https://youtu.be/vTT8Oy5gIbM

山の焚火/月例三三独演

映画「山の焚火」は、人間における本能の力を描いたといった類の見方も可能であろうが、私には、伝説の始原となる現実例を表わしているかのように見えた。
https://youtu.be/iPZbWnwa7sU

中止になった”第156回 月例三三独演”がイイノホールで開催されていたはずの時間にのみ、YouTubeで配信特別版が見られた。「加賀の千代」と「花見の仇討」。微妙な間の取りにくさが伝わってきた。お囃子が紹介され、三味線の長澤あや師が登場。全体に、三三師の、転んでもただは起きぬぞ、との意気が感じられ、嬉しい気分。